アメリカは五大湖近くのIndiana州Syracuseからの2夫婦をガイドした。Mark(58)はもう32年も経験のある整形外科医で、ヒザの人工関節置換手術の第1人者。今回日本に招かれて多くの医師を相手に札幌、大阪で講演、11月には中国でも講演を要請されている。夫人のSusan(57)との間に2人の息子がいる。 少し早めに到着したので、浜離宮やお台場を見下ろしながら、汐留のConrad Hotelの28階のロビーで待つ。 iPhoneにWe will be down shortlyとSMSが入り、やがて4人が時間通りに降りてくる。今朝4時起きで大阪から新幹線で上京、8時半に東京駅へ着き、タクシーにConradと言ったら通じなかったが、Conlardのように言ったら何とか通じたと言う。 一応Itineraryは前もって提案してあったが、とにかくお台場に行き、船に乗りたいというので、ユリカモメの汐留駅へ。しかし台場方面行のユリカモメは満員なので、新橋へ戻りUターン お台場海浜公園で下車し、海岸を歩く。「なぜ誰も泳いでいないの?」と聞く。きれいに見えても汚染がかなりひどいので遊泳禁止と答えるが、腑に落ちない様子。お台場埠頭で宇宙船のようなヒミコの乗船券を買う。12:20発だから今から80分だけ観光出来る。快晴でそよ風が快い。「自由の女神」で記念撮影して、AquaCityのネコカフェへ。売っているネコのケースに貼られた40万円の札を見て、「ここのネコ全部の値段?」と聞く。分割払いのプランまであるのにあきれる。「犬」支持派の人たちのために隣の犬カフェ(?)にも。上の階ではSurf-Innという店にひっかかり息子たちへのお土産Tシャツを物色。気が付くと船の時間まであと50分。そこでガンダム像を抜けてHistory Garageへ。何しろMarkはクラシック・カー蒐集が趣味。古い車が並ぶ中を進みながら、「これは俺持ってる」とか「この車の1964年タイプは私のところにある」などと言う。彼の家には13台もクラシック・カーがあるそうで、どっちが博物館だか分からないような話。ミシガン湖には大型のプレジャー・ボートも係留・所有しているとかで、乗り物の趣味も相当なもの。女性軍が行き ランチには天ぷらが良いというので雷門近くの「尾張屋」へ。ソバ天を取るが汁に浸って柔らかくなっ 仲見世ではJuriaが子供への土産にドラゴンが大胆に舞っている絵の箸を買う。宗教にこだわりがあるようで、本殿には入りたがらないし、おみくじも興味がない。12世紀に義朝が浅草寺を訪ねたという記念の六角地蔵灯篭付近で記念撮影。更に六区先の狭い路地をさまよって、銀座線の駅へ。 今になって築地へ行きたいと言い出す。ほとんど閉店しているとは思ったが、場外市場はまだやっているかなと思って一応行くことにする。車中で隣のJeffからいろいろな質問。戦時中の経験を聞かれ、覚えていることを話す。一方「なぜ日本人は人にあんなに親切なのか?」と言う。そこで偏見と断って披露。ちょっとしたことで首をはねられ、命が軽んじられた封建時代に、庶民が生き延びる知恵として未知の相手に用心して、丁寧に対応した習慣が日本人のDNAに残っているのではないか。などとやっていたら、乗り換え駅の銀座を乗りこして気が付くと新橋。でもあとで「電車の中で聞いたことは忘れないよ」とJeffに言われ、戸惑う。 期待した場外市場もほとんど閉店の中を場内市場へ。ここも多くは閉店だが、匂いは残り、切り落とされた大きな魚の頭が転がり、イケスには変わった魚も見え、早朝の喧騒を想像力を使って楽しむ。一応早朝のセリの場所にも案内。「明日は早起きして来る」とJeff。 4時半も![]()
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![]() イ 前日の晩に電話で確認した8:30にホテルの小さなロビーで待つが、姿がない。部屋に電話すると眠たそうな声。睡眠中だったようだ。用意ができたら降りてくるように言って待つ。40分も待ったころ、お土産をもってSonuが申し訳なさそうに現れ、「医者として時間を守らなければならないのに恥ずかしい」と言う。私を脇にある食堂に連れて行き、妻が支度中なので、何か食べてもう少し待っててくれないかと言う。朝食は済ませて来たので、ジュースやお茶を飲みながら更に20分待ってやっと2人がそろう。でも外は雨で、1日中続くとの予報。 あとで聞くと、毎日の厳しい仕事と時差ボケで疲労がたまっていたようだ。自宅と病院がすぐ近くということもあり、朝8時には仕事を始めて、夜11時まで診療と手術などが続く。しかも土日も仕事で休日が全くない。病院には医師18人をかかえ、60人もの職員もいて、診療や手術以外に、病院の経営や医師研修で教えることも彼の仕事で、その上この講演の準備もあ とりあえず、雨の中を東御苑に向かう。たまたま銀座を歩いていて思い出したので、レーシックで集団感染を起こして騒がれた「銀座眼科」の1件で日本人の中にはレーシックに偏見のある人がいることを話す。驚いた様子で、自分のところでは3万件もやったが、完全に管理していて1度もないし、レーシックは全く安全だと自信満々。 皇居は明日からの乾通りの一般開放の準備で坂下門は混雑。その脇から、 明治神宮へ。神道と仏教の話はやはり聞かれる。歩きながら日本の士農工商とインドのカースト制度を話題にしてみる。インドでは農夫は商人より下位に来るのに、日本では逆。日本では米が大切にされ、何もproduceしない商人は低い位置になったと言っても世界は違う。Induによると「違うカースト間の結婚はダメというのはやはり守られているし、だから我々も医師同志の結婚になった」そうで、「日本は金持ちでないとなかなか医者にはなれない」というと、「インドでは我々のような貧乏人が医者になる」と笑う。 ![]() 2時を回ったので昼食に...ということになるが、彼らはインド人の中でも完全な菜食主義者で、明治神宮文化館の軽食コーナーで探すが難しい。山菜ソバやワカメウドンなども動物性のダシなのでダメだという。チーズも殺した動物の脂肪を含むからダメだが、アイスクリームは牛乳と乳脂肪なのでOKだという。そこでコーヒーとアイスクリーム、それに彼らが持ち歩くビスケットやBhujiaと呼ばれるスパイスの効いたカリカリの粒状菓子を開く。私は牛丼を取ってもらい、彼らの「お菓子」をつまみ食い。 腹ごしらえをしたので、スカイツリーへ。実はメイル交換中にSonuがスカイツリーの希望を言って来たので、都庁展望台を薦めたのだが、「これは私の夢なので、是非実現してほしい」と強く言われて、5時に予約も取っていたので、雨でも行かないわけにはいかなかった。でも浅草から東武電車が隅田川の上を通りかかると、下の隅田公園の桜が一面のピンクの雲のようで皆が歓声を上げる。予約だし、待ち時間はゼロ。雨の中でも不思議にエレベーターは満員。案の定350mの展望台は雲にスッポリ包まれて何も見えない。代わりに大きな壁に写しだされる晴れた時の富士を望む景色や塔の建築経過のビデオが巨大なスクリーンに展開するのを見る。やがて日没の時刻になり、雲の隙間から下界の照明が微かに見えてくる。ときどき雲が切れると浅草のビル街や通りに沿った電飾も見える。隅田川の向こうに見える橋を指してInduが「レインボーブリッジか?」と的外れ 是非一緒に夕食をというので、京橋のホテルの近くのインド料理「カイバル(Khyber)」へ誘われる。インド人のシェフが腕を振るう本場のインド料理。彼らは菜食主義者用のカレーを注文、私はチキンカレーをナン(naan)に付けて食べる。彼らはロティ(roti)というナンに似た平らなパンを取る。ナンはイースト菌で発酵させるパンだが、ロティは菌を入れずに練ってバターで焼いただけとのこと。ここでも彼らはカリカリお菓子のBhujiaを弁当箱から取り出し、全員の皿に加える。食事しながら、医者として聞くのだがと言われて、「魚を生で毎日のように食べて本当に健康を害することはないか?」と真剣に聞く。「魚は生が一番美味いし、実際日本は長寿国のようだ」と言うと不思議そうな顔をする。 気が付くと10時を回っていたので、ホテルまで送って別れを告げた。
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