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会って初めて分かったことだが、依頼者のNathanは昨年妻と息子の3人で来日していて、その際1年前の4/15に我々のクラブのK氏に鎌倉ガイドをしてもらったと言う。今回は神社仏閣を嫌がる息子はアメリカに残して、妻と親戚4人の6名で再来日した。Nathan(44)はボストン郊外に住む歯科医で、妻Ly(44)もやはり歯科医。ボストン市内に自分たちの歯科診療所を持っていて2人で開業している。今回はLyの妹Sally(40)とその夫Tony44)、もう1人の妹Quynhanh(39)とカリフォルニアに住む姪のChau(28)も誘っての旅。TonyIT関係の会社勤務。Chauはネイル美容師。もともと彼ら全員がベトナムのダナン生まれで、ベトナム戦争でサイゴン陥落後の1980年代に、彼らの父親が北ベトナム政権に捕えられて投獄され、8年間の「再教育」と称する刑期を終えたあと、両親に連れられてアメリカへ逃れ帰化した。

メイル交換の中で、新宿の「麺屋武蔵」でまず食事をして、デザートに京橋の「イデミ・スギノ」(Hidemi Sugino)でお菓子を食べたいとの希望があった。調べると「麺屋武蔵」は11時開店だと分かり、歌舞伎町も案内してほしいとの要望もあって10時にホテルで会って歌舞伎町をまわってから食事ということにしていた。小雨加減の寒い朝、歌舞伎町北側にあるホテルへ少し早めに行くとすでにみなが集まっていた。ただ、会うなり「朝食を取ってまだ満腹なので『麺屋武蔵』は省略したい」と言う。歌舞伎町も自分たちでかなり回ったというので、すぐに「イデミ・スギノ」へ行くことにする。

歌舞伎町のホストクラブの男性の写真が並ぶ中をNathanが女性たちをからかい、彼女たちも適当にふざけながら、JR新宿駅へ。新宿駅のStarbucksでコーヒーを取り、予定を相談。Nathanは赤い付箋が無数に付いたガイドブックを3冊抱え、細かく調べていて、話題になるような店や食について細かい質問。

JR中央線で東京駅へ。Nathanは途中私のiPhoneWiFiに使えることが分かると、自分のスマホで早速「乗換案内」の類の英語版HyperDiaに接続して旅行情報を調べる。このサイトは日本を旅行する外人にはとても役立っているようで、ありがたがる人が多い。他の人たちもそれぞれのスマホをテザリングでネットにつないでメイルやFacebookのチェックに余念がない。

八重洲南口の西側の道路沿いに、この辺では珍しい緑の葉が茂る壁があり、雨が止んだ時を見計らって、みなで記念撮影。11時開店のイデミ・スギノへ着いたのは1130ころ。奥のテーブル席はすでに満員。やはりパティシェの世界大会で優勝した腕を持つ彼の店は人気だ。しかし時間をおくと傷んでしまうというデリケートなお菓子は、持ち出し禁止で、Eat-In専用のものも多い。しかも店内は一切撮影禁止。しかしNathanがこっそりスマホで撮った写真を私のFacebookのページに送ってくれたので、左上に入れてみた。結局そのまま20分も待つと7人が座れるスペースが出来て、みなホッとする。1650円もする様々の色と形のお菓子を1つずつ12個も買い、それをみなで回しながら全部の味を少しずつ全員でシェアして味わう。紅茶も1840円と高いのでNathanだけがとり、他の人は水だけ。周りをみると、お菓子の断面を細かく観察しながらメモを取っている人もいる。艶のある琥珀色や抑えた赤、滑らかな深褐色に包まれた小さな菓子は大きめの宝石のようでもある。スギノのSを描いた黒褐色の小さな板が薄いリーフ状のチョコレートと共に刺さっているお菓子があって、間違って食べてしまいそうになった人もいて笑いが起る。ほとんどがムース中心で柔らかく薄甘い基調の味に別の果実やチョコなどの味がほんのりと加わり舌の上で溶けて広がる。お菓子だけなのに不思議な満腹感が残る。

浅草へ出る。仲見世ではお菓子屋が並ぶが、「もうお菓子はいい」という感じ。でも醤油煎餅の前で写真だけは撮る。和服姿が似合う中国人らしい女性の一団がいて、一緒に写真を撮らせてもらう。気が付くと脇に和服姿の中国人男性も1人いて、Chauが一緒に撮りたいと言って撮ってもらった写真を「私のボーイフレンドよ!」と得意顔に見せる。

すでに2時を回っていて、天ぷらと麺が食べたいというので「てんや」でウドンとセットの天丼を取る。590円のセットなので、イデミ・スギノの菓子1個よりも安い昼食だと苦笑い。でも「とてもうまい」と感嘆。特にエビ天がとても気に入ったようで、更に10本(1210円)もエビ天だけを追加したので予定より少々高くなったが...

食事中にリサーチ好きのNathanが、ガイドブックをみていて「神戸ビーフの店がこの近くにあるはず」と言う。調べると雷門通りにある。早速その「松喜」に出かけて陳列ケースに置かれた100g 2000円という値札と霜降り肉を写真に収める。

ついでに「浅草文化観光センター」の8階に上がり、写真を撮るが、寒いので早々に退散。計画ではその後お台場の大江戸温泉に行く予定だったが、寒いので風邪を引くのも心配というので、中止。とにかく外気の当たらない室内が良いとの希望で、銀座線で末広町から秋葉原のヨドバシアキバへ。アップル関連のものを少し物色して、6階のおもちゃ売り場でおみやげ探しのあと、やはり寒いし疲れたようで、新宿へ戻ることにする。途中、例によって検索好きのNathanが「2,980円で1時間マッサージをしてくれるところが新宿にある」と言って連れて行ってほしいと言う。地図で見ると南口から5分くらいの所なので案内。細長いビルの上にある「コリンズ」という店。しかしマッサージ師が2人しかいないことが分かり、6人だと3時間もかかる...と困っていたら、同系の店が近くにあるというので、電話予約してもらって4人はそちらに案内。終わったら合流させてもらうよう手配して、そこで別れを告げた。
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バルセロナ出身でドイツで働くスペイン女性Laia(29)と東ドイツ生まれでベルリン在住のドイツ人男性Jens(36)のカプル。元はドイツの同じ広告代理店に勤務していて知り合い、一緒になってもう2年半になるという。今はLaiaは別の広告代理店Heimatに移り、JensはベルリンのScholz and Friends社に移って広告関係のCreative directorをしている。2人とも子供ができる前に出来るだけ旅行しようというので、すでに22か国を回ったという。今回はカンボジア、ラオス、ベトナム、タイを回って関空から日本に入り、京都、奈良、高野山を回って東京へ。東京は1週間滞在。最初の3日はLaiaの好みで彼女が手配して神宮前のDormy Innに、後の4日はJensの好みで、旅の最後にLaiaを喜ばせようと、汐留の高層高級ホテルを彼が選んだ。(余談だが、神宮前に滞在中の5/5に例の大地震があり、小さなホテルの4階だったが、人生初体験の上、仙台のイメージでパニックになって飛び起き、ネットやテレビで情報を探しまくったそうだ。)

私がガイドしたのは彼らの東京滞在5日目。すでにかなり自分たちで回ったあとだった。東京タワーがすぐ前に見える見事な眺望のメディアタワービル25階ロビーのソファで800に会う約束。当方の写真を送ってあったせいか、ソファに座っているとLaiaが声をかけてくれる。やがてJensも合流し、今日の主目的の相撲部屋へ。例によって予約なしで、そのまま地下の大江戸線・汐留駅から直通で両国駅へ向かう。

両国では、まずすぐ近くの陸奥(みちのく)部屋へ行ってみるが閉まっている。いつもは中の稽古が窓越しに見えるが今日は何もみえない。では、というのでスマホのGPSを頼りに5分ほど歩き、春日野部屋へ。ここでは関前のアスファルト上ですでに数人の力士が身体を動かしている。玄関に入ると奥から親方らしい一人が出てきた。見学をしたいと言うと「最後まで居てくれるのなら、いいですよ」と言う。2人に聞くと「居てもいい」と言うので入る。3人の親方衆以外に既に外人1人を含む4人が見ている。先ほどの人が座布団を我々に持って来てくれる。2人は正座して座布団に座るが、長持ちしないだろうと思って、足を崩させる。稽古場では15人くらいの力士と弟子が稽古中。栃煌山やグルジア人の栃の心などが見える。勝者が残って次の挑戦を受け、勝つと残りの力士が勝者に寄って取り巻き、歓声を上げる。今日は随分賑やか。観戦者は沈黙が原則だが、賑やかなので、2人がヒソヒソと質問してくるのも聞きにくいくらい。黒いマワシと白めのマワシで力士が区別されているのは何故かと彼らは聞く。ここでは上位のものは白、下位は黒のようだ。相手の首を手て突っ張るのはFair Playなのか? とも聞く。カメラもフラッシュを使わなければOKのようで、2人もやたらに撮る。新弟子が当たっては転がされ汗で泥まみれになり、苦しそうな激しい息遣いで、やっと立ちあがって、また鈍い音を立てながら体当たりに行く。そんな悪戦苦闘が40分以上も続いたあとで少し休憩時間になる。親方衆も立ち上がり土俵は掃除で大方の力士は外へ。我々も立ち上がりお礼を言って去ることにする。2人も足が痛いようだし、あと1時間も持ちそうにない。お礼を言うと、「行ってもいいけど、最後まで見るんじゃなかったの?」と嫌味を言われる。とりあえず、出る。前もって2人には「畳に長く座ることになるよ」とは言ってあったのだが、実際は難しい。外に出ると散切り頭の新弟子とマゲの力士がいて、彼らは面白がる。

そのあと上野へ行ったが、長くなるのでそれは省略。

浅草へ。東京は130回もの空襲でほとんど完全に消滅した旨を説明すると、同じくひどい空襲にも拘らず、ドイツはブランデンブルグ門などかなりの重要建築物が残ったという。浅草は仲見世通りはひどい混雑だが、六区付近の狭い通りは閑散としている。そして2人が興味をもってカメラを向けるのは、このあたりの古い昔のたたずまいのキレイでない路地裏だ。ランチに寿司が食べたいというので「すしや通り」に出て、「寿司初本店」へ入る。トロよりウニが大好物というLaiaはまずウニを探す。ここでは吸い物、茶碗蒸しとサラダが無料でランチに付くので彼らは喜ぶ。彼らは日本食が好きで、納豆も生卵もOKとのこと。特にLaiaは、醤油は全ての料理をおいしくしてくれると称賛する。先日ガイドしたすぐ裏の「蛇骨湯」を話題にすると興味を示す。自分たちでも来てみたいというので、狭い路地を案内。

次はお台場が良いというので、銀座線へ乗るべく雷門通りを進む。途中Laiaがスタバを見つけて、豆乳カプチーノがそこにしかないので飲みたいという。みなでスタバに入ったので、そこで座って飲むのかと思って私もコーヒーをおごってもらうことにすると、実は歩きながら飲みたいという。彼らにはそれが普通のファッションのようで、私も歩きながら暖かいフタつきの紙コップを抱える。歩きながら飲むのは慣れないがやってみると意外と快適で落ち着く。ただ飲んだ後、紙コップを捨てる場所がない。昨日も2人は同じことをしてLaiaは交番に入って捨てる場所を尋ねたそうだ。そうしたらおまわりさんは教える代わりにそのコップを受け取ってくれたという。「彼女が頼めば誰でも何でも聞いてくれる」とJensはひがむ。

新橋からユリカモメに乗る。たまたま入ってきた折り返しの電車の先頭座席に陣取り、すっかりドライバー気分の2人。同時にビデオや写真が活躍。海浜公園で降りて砂浜を散策。「サーフィンはやっているのに、なぜ遊泳禁止なのか?」には答えられない。ビーチでは女性モデルを立たせて雑誌社がその表紙を飾る写真の撮影をしている。我々も撮って、自由の女神からネコカフェへ。脇に76万もするネコが売られているのを見て、給料の1ヶ月分も払ってこのネコを買う人がいるの? とケゲンな顔のLaia。スペインで職はないのでドイツへ行ったという29才の彼女は結構高給取りらしい。そしてドイツ人のJensは彼女のドイツ語はドイツ人以上だと称賛する。私が言うの変だが、英語も実にうまい。突然吹いてきた強風をおしてガンダム像のところへ進む。Jensが、宮城県から来たという女子高生たちに囲まれて一緒に写真を撮りたいと頼まれ、45人ずつの制服高校生と共に次々にJensが被写体になる。脇でLaiaが「京都、奈良でも同じことがあって、どこへ行っても彼は女学生にもてるのよ...」と不満そう。と、そこへ別の女学生のグループがLaiaに「一緒に写真を...」と寄って来たので応じる。「これでお相子だね」と言うと「いや私はこれが初めて」とLaia2人の雲行きが少しあやしくなった。一方JensにとってLaia3度目の彼女だと彼は言いながら、「Laiaは最高」と持ち上げると、Laiaもまんざらでもなさそう。

Venus FortHistory Garageへ。Back to the Futureのデロリアンに会ってJensは感動。ドイツから来た彼等なのでいつもメッサーシュミットのある場所へ案内すると、そこには別の車が置かれている。聞くと、目下修理中で引き揚げたとのこと。わざわざドイツから来たというと、「それでは修理のガレージを案内しましょう」と親切な提案。地下の修理工場へ降りていく。しかしそこにはメッサーシュミットはなく、代わりに古き豪華オープンカー・キャデラックとシボレー。全長5mもある「キャデラックのソファのようなシートに乗ってもいいいよ」と言われて2人は大喜び。左上の記念写真となる。

ついでにVenus Fortの中世の街の「青空」を眺める。2時間で朝空から夕空まで変化する空間だと知ると、Laiaは「ここにいると時間の感覚がなくなり、おかしくならないか?」と心配する。

そのあと、彼らは森美術館に行きたいというが、もう5時をまわっていたので、彼等だけで行ってもらうことにして、新橋まで一緒に行き、美術館への行き方を確認してそこで別れを告げた。

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