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大自然の北海道(と東北)


 やや観光化しているが北海道らしい北海道の一つが富良野かもしれない。一面波打つお花畑と麦、メイクインの畑の各所にコテッジ風の家が点在し牧歌的な雰囲気を醸し出す。この紫の帯はラベンダーの畑。20年前には確かなかった風景だが。
 この赤い花の名前は分かりません。教えてください。その向こうはおなじみのラベンダー、その他白いパウダースノーも見えます。スモッグのない突き刺すような太陽に焼かれた鮮やかな花々。この地方も冬はマイナス30度の世界に変化する。そして零下25度以下になると小学校は休校になるとか。
 見渡す限り360度こんな景色です。遠くの黄色が麦、真ん中の緑がメイクインと呼ばれるジャガイモ。その向こうにはトウモロコシが良く育っています。この広さ収穫があるのに6割の食料を輸入に頼らなければならない状況が想像しがたいところです。

 浩が立っているところが「ラベンダーの森」。荒れた山肌を切り開いて何とか育てたという感じである。しかし大いに当たって札幌から2時間半の距離なのに、週末になると渋滞して8時間もかかるというからどういうことになっているのだろうか。何しろアイスクリームからトイレの便器までラベンダーの紫一色にそろえてある。昔アメリカの小説を読んでいて「ラベンダーの香り」という表現があってもピンとこなかったが、今はありふれた花になった。でもどうもトイレの臭い消しの連想が伴う。語源を調べてみるとlavenderと lavatoryは同系の語であることが分かった。なるほどアメリカ人も昔から同じ用途に使っていたのだ。
 ここは東北、中尊寺(毛越寺)のアジサイ。何と8月になろうというのに満開である。今年は東北では、梅雨が長引いて夏がないまま秋になるそうだから、アジサイの寿命も延びたのかもしれないが、北に行くにつれて季節がさかのぼるのもおもしろい。

 こちらは盛岡の先から見た岩手山。土地の人が南部富士というだけあって、圧倒される景観である。車の交通量も減ってきた東北道を左にこの山を仰ぎながら進むのは何とも言えない爽快感がある。

 札幌大通り公園の脇にこんな石碑があった。石川啄木の歌碑である。「しんとして、幅廣き街の秋の夜の、玉蜀黍(とうもろこし)の焼けるにほいよ。」今も昔もとうもろこしは北海道と切っても切れない関係なのだ。

動物たちの天国と地獄

 網走の近くに放牧されている馬。柵の中にも充分な草があるのに、狭い柵から長い首を横に向けてやっと通し、隣の牧草地の草をバリバリッとむしり取って、ムシャムシャと実にうまそうに反芻する。何十年かぶりに馬が自然の草をはむ音を聞いて、子供の頃を思い出した。浩も見とれて座り込んで動こうとしない。こんな単純な瞬間が、お仕着せのパスツアーでは経験できない。零下30度の冬を生き延びてきた強さも伝わってくる。
 北海道の南部には長万部に東京理科大、この岩見沢に駒澤大がキャンパスを持っている。そのすぐ近くにこの競馬場がある。普通の馬の2倍以上ある重さのばん馬による力比べのレースである。午前11時最初のレースが高らかなファンファーレとともに始まった。
 レースは直線距離で400m位のものだが、何しろ鉄製の500kgものおもりを引きずって、小さい山を登ったり降りたりを繰り返す。その間御者は馬の尻をムチで思いっきりひっぱたく。見ていて馬に生まれなかったことを感謝したい気持ちに駆られるが、あまり楽しみにないこの地方の期待された行事のようで、近くの養老院から車椅子で沢山の老人が見物に来ていた。
 浩もついに熊の親分と親しくなり歓待された記念のショットを...とでも言いたいところだが、これはもちろん剥製。網走の有名な監獄あとの博物館の中にあるもので、浩も180cmくらいあるから、熊が立ち上がると相当な圧迫感があり、大鵬とても相撲の相手にはならないことがよく分かる。
 馬は本来噛み付いたり、蹴飛ばしたりする習性があるので、むやみに近づくのは危険だが、これは慣らされた馬で安全。ここはケンタッキーとは何の関係もない日高ケンタッキーファーム。それでも何となくおっかなびっくりの様子に着目。
 大雪山の北側、北見地方はキタキツネで有名。浩の横にいるキタキツネは観光用に飼い慣らされて観光客に餌をねだりにくる。何となくうちの愛犬チェリーに似ているのは、祖先が同じなのかも知れない。そう言えば、狼に戻って集団生活をするようになった犬の話は有名だが。
 知床五湖に突き出た展望台でずっと向こうを見ていると、一面の笹の林の上に枝のようなものが動く。よく見るとカモシカの角であった。望遠ビデオで撮ったので画面が荒くなったが、周りはウグイスの鳴き声がしみ通る静けさの中で、爽やかな空気を思う存分吸い込むことが出来た。
 阿寒から釧路へ抜ける道の途中の典型的な牧場風景である。牧場の牛舎と牧草のエレベータに牛乳用の貯蔵塔が一組になってきれいにまとまっている。これがイメージ通りの北海道だ。

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