イスラエルからの若夫婦、機械関係の技師Peter(30)とアメリカ系の製薬会社Perrigoで品質管理をする薬剤師のAnastasia(28)をガイドした。Applicationでは日本の食文化、特に手作りビール(craft beer)やロボット・レストランなどに興味が しかしガイドを予定していた10/5(土)は、前日の予報で台風の影響から終日雨だと分かり、前日の夜その旨を電話して、翌日の10/6(日)に延期してガイドすることに変更。ところが肝心の「手作りビール」パブが日曜休業と分かり、築地市場も日曜は休みでもあり、再度相談して10/7(月)に延期になった。 当日(10/7)9:00amにホテル・ロビーで会う。ガイドの日を延期したために、その間に自分たちで浅草、銀座、上野など見たという。まず築地市場へ行くというので、歩きながら予定を調整。スカイツリーを加えたいというが、曇り模様だし2,000円払っても雲の中だよ言って、タダの都庁展望台を勧める。それに東京湾のクルーズもしたいというので、お台場も提案。今までの彼らの行動では、良さそうな寿司屋が見つからなかったらしく、Anastasiaはとにか 場内の人気店に行列が出来ているのをしり目に場外へ。回転すしに入ったことがないというので、「すしざんまい」へ行くことにする。だが11時開店まで30分ばかりあるので場外市場をウロウロ。佃煮をつまんだり、カツオだし、練り物、乾物、ダシ巻き卵などを説明。11時前に開店になったところで入り、抹茶の入れ方から教える。コンベアー上を回るものは定食型の店とは違うものも多い。ワカメだけを載せたもの、プリンなどのデザート類から納豆の寿司まで彼らは興味を持つ。やはり定食型の店の方がマグロも肉厚の感じだが、目の前に次々に現れるので、外国人が寿司の種類を知るには確かに便利。彼らはユダヤ人だが規範書(Kosher)にはとらわれない人たちで魚の形をしないアナゴ、タコ、イカ、ウニなどもパクパク。Anastasiaはやっと念願がかなったと喜ぶ。食べ終わると早速抹茶を買いたいと言うので、近くで980円の缶入りを買う。 次はそのまま大江戸線で都庁展望台へ。雲行きが怪しい中を下界の展望を楽しむ。ス 続いて原宿へ。表参道の方は自分たちで既に見たというので、明治神宮だけを見る。丁度2時の太鼓打ちに出会う。太鼓のあとお浄めの儀式。石段の上では普通は撮影禁止だが、このときは対象が神主のせいか許されるようで、みなが壇上で一斉にカメラを向ける。結婚式の行列も木蔭での写真撮影も進行中で、彼らもラッキーと喜ぶ。 参道途中の休憩所で一休み。大きな日本のリンゴを取りだし、皮の付いたまま2人でかじり始める。ヨーロッパやイスラエルのリンゴは本当に小粒なので、これも日本体験だという。若者2人が食いついて食べても少し残してしまった。食べながら身の上話をしてくれる。彼らは2人とも両親はロシア人で、Peterはロシア中央部のノボシビルスクで10才まですごし、Anasitasiaは、やはり近くのオムスクで幼少時を過ごしたという。ソ連でのユダヤ人への迫害はひどく、2家族とも両親がイスラエル移住を決意。2人はイスラエルのネゲブにあるベングリオン大学で知り合って、親しくなった。だが、たまたまAnastasiaの母がユダヤ人でなかったため、イスラエル国内で結婚式をすることは認められなかったので、2人は半年前にチェコのプラハへ一旦出て、そこで結婚式を挙げてイスラエルへ帰国したという。厳密は意味でユダヤ教を信じる人はイスラエルでも10%程度しかいないのに、信者でないと国内のユダヤ教会では絶対に結婚式をさせないそうだ。そのくせ厳密はユダヤ教信者は、国民に課されている兵役の義務(男子3年、女子2年)も、信仰の勉強が忙しいという理由で免れていると2人は不平を言う。 次にお台場へ。日の出桟橋からお台場への船の時間が合わないので、ユリカモメで直接お台場海浜公園へ。人工の浜辺でも、青空の下、そよ風に当たりながらでは気持ちが良い。Anastasiaは靴を脱いで裸足になり、海に入る。泳げないのが残念という感じ。砂浜を歩いて砂だらけになった足を、先ほど買ったペットボトルの水で洗い落す。Peterがそれは飲料水だよと言って先にある水道栓に汲みに行く。 そのままAquaCityに入り、ウドンでお腹を満たす。猫カフェ付近で帰りの船への待ち時間を調整して、夕方の船でお台場埠頭から日の出桟橋へ。これでPeterの願いの1つがかなったので、彼も喜ぶ。丁度黒いレインボーブリッジがシルエットになり、その向こうに広がる夕焼けが実に美しい。デッキの上で座る場所もないが、写真を撮って夕焼けに見とれているうちに日の出桟橋に着いていた。そのまま新橋から地下鉄で浅草橋へ出てホテルへ戻る。
Peterはイスラエルでも自分で醸造するのが趣味のようで、同じ手作りビール仲間と「自作」を持ち寄ってはパーティを開くのが習慣だそうだ。でも、酒はビール以外は飲まず、深酔いすることはないと言う。Anastasiaも彼の影響でかなり飲めるようになり、2人で楽しむ時間が最高だとか...。やや変わったガイドだったが、こういうのもガイドの出会いなのかなと思った。
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![]() この件も最初は10/9(水)の予定だったのが、天気予報を考えて直前に相談し、先方の希望で10/8(火)に変更。約束の9:30am少し前にホテルに到着。入ってみて、ずっと前にメリル・リンチの副社長をガイドしたときのホテルだと気が付く。案の定今回も少しセレブが 彼らの娘の1人Joannaは15才の高校時代に相模原の高校へ1年間留学していたことがあり、そのときの日本人の友人の結婚式に参列するためこの5月に来日した。その際両親も同行し、彼女が案内して日本各地を回っており、東京もかなり回ったと言う。今回はそれと重複しないところへ行きたいとのこと。ただLanaは脊椎がS字状に湾曲する病気(脊柱側弯症?)で手術し、背中に金属の棒が入っているとのことで、やや前かがみで早くは歩けない。そこで原宿界隈とお台場を 日比谷線と千代田線を乗り継いで明治神宮前へ。明治神宮は5月に見たというのでスキップして、竹下通りへ。コスプレ的な衣装の女の子が珍しいようで、Lanaは無理な早足で追いかけてはカメラを向ける。ときどき私が女の子たちに頼んで助ける。Lanaは好奇心旺盛で百均のダイソーでもLet's get in.となる。Marcは変わった衣装には多少の興味を示すが、百均では手持無沙汰。Lanaが時間をかけてアメリカにないものを物色するので、Marcと店の前で雑談して待つ。結婚47年目の彼は奥さん思いで、待つのもすっかり慣れている様子。 私事で恐縮だが、若くしてアメリカで死んだ私の伯父がずっと昔アメリカに留学していたとき、世話になった大学教授が夏休みに自宅に招いてくれて2か月間過ごした家が今のMarcの家から20kmも離れていないところにあったことが分かって、そのことを彼に話すと非常に興味を示して奇遇なので帰ったら是非調べてみたいという。 Lanaは靴にも関心を示し、10ドルで靴が買えるなんて...といろいろな店を物色。丁度そのとき後ろから「相沢さん」と言う声。振り向くと、総会でよくお会いしている品川SGGのガイドNさん。思わずハイタッチ。同じように若い女性をガイド中。彼女の手提げにはおみやげらしい日本風のウチワがギッシリ。 ![]() 竹下通りを抜けたあたりでLanaもかなり疲れた様子。一服しようとDesign Festaへ。マンゴージュースを飲みながらしばらく談笑。彼らの長女Rachelも秀才でクリントン大統領時代にホワイトハウスの特別研修生も経験したそうだ。研修生とのスキャンダルが話題になったMonica Lewinskyの1期前の研修生とのこと。彼女は今アフリカ・ガーナ政府に加わって政府組織のインフラ整備の仕事をしているとのこと。 裏通りから表参道へ出る。表参道ヒルズも前回に見たようだったが、「日本で高卒後Joannaはこの辺の店で1年間働いて日本語を磨いた」と言う。そのまま表参道駅から新橋へ。 ユリカモメはやはり興味深そう。「遊園地の乗り物に乗っているようだ」と言いながら、高所を進む車内から盛んにシャッターを切る。「これだけ複雑な路線を無人管理するのは大変だろう」と言いながらもキョロキョロ。 昨日も若い夫婦と歩いたお台場海浜公園の人工海岸を今日は老夫婦とゆっくり進む。Lanaは自称犬人間で、犬の散歩中の人に話しかける。マダラの紫色の毛をしたプードルを見つける。連れていた若い女性はヘアダイで犬毛を染めたのだと言う。自由の女神像の前ではLanaが同じポーズを取る。「自由の女神が2人になった」と言ってその写真をMarcに見せる。 日本食が食べたいというのでAquaCityの5階の築地食堂へ。「私の箸使いを笑わないで...」と言いながら、Lanaは左利きなのに右で箸を器用に扱い刺身定食に 帰りはまた「船にしよう」ということになる。出航の4:05まで30分あるので、波止場まで歩き木蔭のベンチで一休み。秋なのに日向は暑すぎる。話していると、彼らも昨日の若者と同様、両親がロシアで迫害された移民だったことが分かる。ただ逃れた方向が違って、彼らはアメリカにたどり着いた。昨日の若者の話をすると事情がよく分かっていた。厳密に教義を守るユダヤ教徒ではなく、かなり現実に妥協したユダヤ教(Secular Judaism)を支持し、実際そのようなユダヤ教徒がユダヤ教徒の90%を占めるという。 船に弱いというMarcも波のほとんどないこの船では問題ないようだ。それでも席に座るより動き回る方が気持ちが落ち着く様子。「日の出」から新橋、銀座と戻り、ホテルの喫茶店で少しおしゃべり。3年後の金婚式には来日して、また会いましょうということで、それぞれハグして別れた。
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