ホテルの部屋の窓の向こうに、突然巨大な白い貨物船が通る。目の前の真っ青な海を真っ直ぐ北の港へ向かう。右の奥に見える沖縄空港の滑走路へ着陸する飛行機も見える。しかし部屋の中だとサイレント映画を見ているように音は聞こえない。 レンタカーの配車がタダだというので、9時にホテルに回して 首里城の守礼門は修理中。すっぽり覆いがかかっていて残念。しかし見回すとあたりの明るい茶色の四角とカマボコ型の瓦が漆喰の網の目で固めてあるデザインがやたらに目に付く。異国的で、どこか地中海の島々のカサブランカ(白い家)の屋根を思い出させる。南国の太陽は11月でもまばゆいばか 太陽の国沖縄は案内人も守衛も、人種が違うように肌が茶色。でも口からは日本語がとび出てくるのでホッとする。そして内地の人より丁寧で親切でやさしく人懐っこい。 さとうきびの畑が両側に広がる大地に真っ直ぐ伸びる道路を「摩文仁の丘」のある平和祈念公園へ。首里城と違って、ここに来ると閑散としてあまり人に会わない。休憩所もガランとして人影がないし、駐車場もタダで広々したスペースに空きが目立つ。第二次世界大戦では全国から招集された日本人 沖縄で20万人が地上戦で殺されたという事実を忘れないために建てられたという六角形の高い塔「平和祈念堂」へ入ってみる。20枚前後の絵が壁にかかってはいるが、仏像があって平和を祈るだけのためのホールなのにどういうわけか450円も「入場料」を取られるのは奇妙。暗いホールの正面には鎌倉大仏と同じ大きさの仏像が暗い中で目の前の空間を見下ろす。修学旅行の征服の中学生らしい団体300人くらいが、戦争体験者の老人と思われる人の経験談を聞いている。話が終わると、関係者と学校側が仕組んだ儀式が始まり、生徒代表が壇上に出て型通りのお礼を述べ、記念品を贈る。そして生徒が先生の指示で一斉に整然と消える。暗いホールに静寂が戻る。 基地の沖縄も興味があるので、次に嘉手納基地が見渡せるという「嘉手納道の駅」へ向かう。1年前に植えたというサトウキビを収穫している畑の中の道を戻って、やっと高速道路に乗り、ナビの指示に従っていると意外に早く目的地へ導いてくれた。昼食に天丼を注文したら値段は安いのに、浅草の天ぷら屋の倍のボリュームの丼が出てきた。うまかったがとても食べきれない。道の駅の建物の4階屋上に上る。嘉手納基地の展望を売り物にして観光客を集めている。しかし実際には頻繁に離着陸があるわけではない。でもたまに来るF15戦闘機や大型輸送機のC5が離着陸する轟音はものすごく、電話などはもちろん会話も不可能になる。それでも三脚を構えた「ファン」が待機しシャッターチャンスをねらう。でも横田基地の展望や羽田空港などに比べると地方の飛行場という感じ。 中部西海岸の景勝地、万座毛に向かう。狭い駐車場しかないのに待つことも すでに3時をずっと回っていたので、名護のホテル「喜瀬ビーチパレス」へ。 海岸を歩いてみる。細かい珊瑚の小枝が打ち上げられて、堆積し波打ち際に小さな土手を作る。見上げるとホテルの丸いバルコニーがきれいに並ぶ。
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![]() 朝食は10階の展望をおかずに楽しむ。郷土の野菜やモズク、それに南国の果物がうまい。 ![]() 「ネオパーク沖縄」という南国の鳥たちの楽園に行く。真ん中に池にがある森林ごとスッポリ大きなネットをかぶせて鳥を飼い、その中に人をいれて見せる動物園。でも温室ではないので、亜熱帯の沖縄で初めて実現できる環境だ。ネットの中に入ると、針のような「金髪」の冠ホウジロヅルやオレンジ色のショウジョウトキの群れが人懐こく次々に寄って来る。人の胸の高さくらいはある大きさなので、長いくちばしでこちらが突かれるのではと心配になるくらい。かつてフロリダの湿地帯で木々の高所にかたまりになってとまっていた白鷺の群れを思い出す。緑の木々の中で真紅のトキが羽ばたき赤い点を作るのは大きなリンゴを実らせた巨木のようだ。沖 最後に沖縄 のヤンバルクイナのいる一角へ。ここは300円追加料金を取られるが、絶滅危惧種を育てる苦労を考えると当然かもしれない。やはりニュージーランドの絶滅危惧種、キーウィに似て尾羽がなく、小心者で飛べない比較的小さな鳥だ。 そこを出て沖縄海洋博の跡地へ向かう。今は国営記念公園になっている施設の駐車場で隣に駐車して客待ちしていた運転手に、その一角ににあるはずの「おきなわ郷土村」の場所を聞く。するとわざわざ車から出て見通しが聞く場所まで来て実に丁寧に教えてくれる。昔からの民家とその暮らしを実際に見ることができる場所とのこと。その集落の入口に近い庄屋風の家に寄る 次に普天間基地が見える場所に行ってみることにする。那覇の直ぐ北の宜野湾市にある嘉数(かかじ)高台公園をナビで探して直行。郷土村のある本部半島の突端からだと高速道路分の57キロを含んで1時間半はかかる。どこにでもありそうな町中の小さな公園には40段くらいの石段で登る高台がありその上に小さな3階建ての展望台がある。そこからは普天間の街を挟んで <次ページへ> ![]() |