メルボルンの南方から西のアデレードに向かって200キロも続くGreat Ocean Roadと呼ばれる海岸沿いの道路を進む。真夏の太陽が横の窓から頬を直撃し刺すような暑さだ。半そでだと腕にあたる日光も痛いくらい。地図で覆ったり、日よけの方向を変えたりして奮戦
暑い、空気が澄んで透明度が強いせいか、文字通り肌に突き刺す暑さ。植物も干からびて、灰色。土も赤茶色が光り始める。オーストラリア人も今日は暑いねという。砂浜に出て水に入る。冷たい。この温度差。いつも温水プールでぬるま湯に慣らされているせいか、現実の海は厳しい。 ![]() ホテル代は平均で1日1人5000円にしたので、Youth Hostelも時々利用した。Apollo Bayという町でもApllo Bay YHA に泊まった。町の中心に近いところにある。大きなガラス張りのモダンでこぎれいな建物。これがユース? とまず驚く。食堂も台所も広くて新しく、こんなところで1人3800円だ。ユースホステルといってもtwin bedsの個室で、バス・トイレ、冷蔵庫、台所などが共用なだけだし、年配者の利用も多いので、違和感はない。ローンセストンのユースにはビリヤードが用紙されていたし、メルボルンではバス・トイレつきのツイン・ルームが取れたので、値段が安い以外はホテルと変わりなかった。しかも個室にはテレビ、湯沸し、紅茶・コーヒーもついて天井には大きな扇風機もまわっていた。 ![]() 夜、海辺の通りの店で海を見ながら、カンガルーの肉を食べた。ちょっと高くて30ドルだったので、2人で1皿を平らげた。意外に柔らかく、ソースも良かったせいか、最初は嫌がっていたO君も「うまい!」といって積極的になった。そのうち足の筋力がついて、おなかに袋が現れるかもしれない。しかしカンガルーの料理法の本も出版されているという話だから、ここではかなり食用に供されているようだ。
アデレードに近いポートランドの宿はすばらしい。北東の角地で海辺に面した岸壁の上にある。しかも平屋2階の北東の角部屋(オー ![]() 目の前の岸壁には木製の階段がついていて60段くらい下ると浜辺に出る。そこは文字通り自然の浜辺で、水が透き通っている。浜辺には昆布がたくさん打ち上げられていて、そのまま太陽にさらされて、きれいな干した昆布になっている。パリパリできれいなので口に入れてみると、おいしい昆布だ。犬を連れた若い水着の女の子が犬にボールを投げてやる。犬は海の中に入りながらボールを受け取る。私がカメラを向けると、女の子は笑顔でポーズをとり、ゆっくり愛犬を誘導した。一方、クリケットの三本足を砂場に立てて、子供がクリケットを楽しんでいるのは、やはりイギリス圏の国という感じがする。サーフィンも大流行だが、波がうまく起きず、あまりうまくやっている人はいない。でも子供は波打ち際でうまく滑っていく。黄色の服を着たガードの人たちもやや手持ち無沙汰。 ![]()
ベッドから眺めていると東方と北方の広いカラス窓越しに地平線まで海が広がっている。夜Portlandへ入港する巨大な客船も明かりをつけてすぐ前を通っていくのでびっくり。特に印象的なのが夜明け。目の前の水平線がうす赤くなり、すぐその上に筋状に広がる雲が赤く染まってくる。やがて白かった空が青に変わり、水平線から太陽が朱色の小さな玉になって現れる。まぶしい。小さな波を打つ大洋が光って明るくなる。崖っぷちに1本突き出す三角錐の木が黄緑に輝く。
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![]() ●前にも書いたが、酒は一般スーパーやセブン・イレブンなどでは売らない。ところがガソリンスタンドには付属して酒屋がくっついていること ●日本での恣意的な円安政策の影響でもあるが、1オーストラリア・ドルが95円前後で、日本からの旅行者は実際の価値の2倍近くの金を使わされているような感じがすることがある。観光地だと野菜パン2つとブドウパンにスコーンで12ドル(1140円)。私たちが泊まったメルボルン空港近くのホテルFormule 1は1部屋79ドル(7500円)だが、隣のHoliday Innは220ドル(20900円)くらいだし、その隣のHiltonは320ドル(30400円)。また国際的な観光地なのに、その意識に欠けるところも目に付く。ゴールドラッシュで有名なバララットへ行ってみる。シャーロック・ホームズの小説をはじめ、イギリスの民話などにもよく出てくる地名である。かなり観光地化されているが、丁寧に1820年代を再現してあり、よく出来てはいる。チケット売り場でConcession(割引料金)という項目も書かれ、学生と年金受給者割引なのだが、オーストラリア国籍で年金証書の証明がなければダメだという。これはフェアプレイではないし、日本人でも同じではないかと言い合ったが、割引率の悪い一般的なシニア割引で…ということで一応おさまった。しかしほかの観光地でも同じような経験をした。 ![]() ●ゴールドラッシュの時代は、川の底をさらうようにして砂金を採取するために、このあたりは大混乱したらしいが、いまでも人工的に川がつくられ、観光客による砂金集めが行われている。川べりには道具が置かれ、多くの人が大きなお盆にすくった砂を揺らしながら砂金を浮き上がらせようとする。針の先ほどの砂金をいくつか見つけた人もいたが、大変な苦労。「金」には皆が目の色を変えるのがよく分かる。一方、当時の金掘削業者のやり方も披露されていた。電気のない場所で蒸気機関をつかって弾み車を回転させ、巨大な掘削機を地中、奥深くまで入れて、金を含む砂利を引き上げる。人がお皿ですくう作業とはスケールが違う。当時から個人と資本の力の差を見せ付けられてきたのだろう。
●メルボルンの空港から都心部につながる道路にCityLinkという料金所のない有料道路が設置されていて、車のナンバープレートがカメラ ●メルボルンの南にあるフィリップ島の岬はきれいな砂浜になっていた。紺碧の海が白い波を砂に打ち上げる。広い海岸では数人の若者が波乗りや球技を楽しんでいるだけだ。我々も時間があったので、砂に寝そべって肌をやいた。陽はそれほど強くは感じない。背中に当たる砂も適当な暑さで、軽く海風が肌に当たり何とも気持ちがいい午後である。目を閉じていると、近くを老夫婦が通りかかって、”Get the breeze on you. Pretty spectacular, isn’t it?”(そよ風を浴びてごらん。とっても気持ちいいじゃない?) “Yeah!”という会話が聞こえてくる。声だけだが、表情が浮かぶようだ…。この国では公衆トイレはふんだんにあり、特に海岸近くでは、トイレの中に脱衣所もあって、気軽に水着に着替えて水泳や日光浴を楽しめる。それに真夏なのに海岸に人が少ないのがいい。駐車場も無料だし、混雑もなく、人口密度が低いところの生活とはこういうことだなと実感する。 ●借りた車を返しに飛行場へ戻る。我々のレンタカー会社は大手ではないので、空港には事務所もない。インターネットで予約して電話で確認したのだが、借りるときも空港の荷物を受け取る付近にTakeo Aizawaと大きく書いた紙を胸に抱えた人が待っていた。返すときも、指定された駐車場所に車を置き、キーを近くの郵便受けのようなボックスに投げ込んで終わりである。タスマニア島では大手のレンタカー会社から借りたが、ほとんど同じ期間と条件で借りたのに、こちらの方が保険・カーナビなどすべて含めて1週間で4万円と大手より2万円も安い。レンタカーも借り方で随分の差が出るものだ。 ![]() |