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Uさんが急病でピンチヒッターとして急に引き受けることになったので、Uさんから今までの交信記録を送ってもらい読む。早速依頼者に交代したことをメイルするが、返事が来ない。夜に宿泊予定のホテルへ電話するが、同行者全員5人のどの名前でも予約が入っていないし、滞在もないとのこと。でも、一応メイルから判断して信用できそうなので用意して待つ。当日の朝早く起きてメイルをチェックするとやはり入っていた。昨夜は移動日でWiFiが使えず、ホテル予約もMillieが、同行するはずだった主人の口座から引き落とすために彼の名前で行ったことを忘れていたとのこと。さらに先方もあわてたのか、私の名前TakeoMr. Takeover となっていたのには笑ってしまった。先方も気が付いたのか「訂正版」を直後にくれたが...

一行はカナダ・バンクーバーから参加したMillie(45)Julie(48)の姉妹とフィリピンに住むその母Mary(70)とそこに同居する息子夫婦Jeffrey(38)Cheryl(32)5人で、一族再会を期して日本に集合。一行は70才の母以外は若い人たちだが、母の足が悪くゆっくりしか進めないとメイル交信にあったのを思い出し、朝ホテルで車椅子を借りることを思いつき、たまたま1台タダで借りることが出来たので、用意して待った。実際、朝予定通り現れた彼らは、「京都や奈良では母の歩行が遅くてあまり回れなかった」というが、「車椅子など必要ない」とカラ元気の母を説得して出発。でも一旦乗ると快適のようで、母も素直に景色を楽しむ。

まず、近くの東京タワーに行きたいとのことで、増上寺の脇の道を進む。「奈良・京都で見たので寺社はもういやだ」と言っていたのに、大きな本堂の写真を撮りたいと中へ。赤い前掛けをした水子地蔵がかわいいと言って「一緒に写真を」とはしゃいでいたのが、「これらはunborn babiesmiscarriageの供養だ」と余計なことを言ったものだから女性たちは「縁起が悪い」と言い出し、撮影中止。でもこの境内から見る方が東京タワーが全部見えてお寺のイラカと一緒になってとても良いとのことで記念撮影。終わると、「もうタワーはいい」とのことで、次の皇居へ向かう。彼らは29日までは都内を動くというので、御成門で全員にパスモを買わせて日比谷へ。

二重橋で例のごとく写真を撮り、東御苑へ向かう。大手門までの徒歩移動はかなり時間がかかるので、こちらの皇居皇室の説明だけでなく、相手の状況も聞くのに利用できる。母のMaryは中国系だが、3人の子供は全部フィリンピン生まれで、依頼者のMillie18年前にカナダへ移住。カナダの大学でコンピュータ・サイエンスを学んで建築関係のソフトを作るIT企業に就職、カナダで中国系の夫と結婚し、子供が2人。Millieの姉はフィリピンに夫も子供もいるが、妹に刺激されて8年前にカナダに移り、郵便局で働く。母Maryと息子夫婦はミンダナオでアジア系の料理を出すレストランを経営。息子のJeffは副業でファンド関係の仕事もして2人の子供がある。嫁のChelylも英語がうまく、野心があるようだ。

大手門への長い移動になるとさすがに母Maryの車椅子移動も板について、「これを用意してくれて本当に助かった」とMaryからお礼。兄弟姉妹も代わる代わる車押しと写真撮影をうまくこなす。

東御苑の日本庭園へ。関西では見損なったのか、みなが池の鯉に魅せられた様子。お互い池に落ちそうになりながら、鯉と一緒に写真に写ろうとする。「ここの鯉は特別でヒレや尾が長く、形も違う」と脇に居た老人が言うので、彼等にも伝える。今まで気が付かなかったが、よく見るとそうだ。汐見坂を何とかみなで車椅子を押しながら上がる。江戸城跡はJeffが石垣を上るまねをしながら周りをまわって北桔梗門から竹橋へ。

次は浅草。快晴の日曜日で、仲見世はものすごい混雑。それぞれの子供へのおみやげを買いたいとのことで、ここは母にも車椅子を降りてもらい、一応解散して30分後に宝蔵門下に集合を約束。私は車椅子をたたんで混雑をすり抜け、宝蔵門で待つ。隣にオーストラリア人の団体客の1人が、奥さんが買い物し終わるのを待っているとかで、お互いに「男性の孤独」を確認。やがて奥さんが現れ、Have a nice day!となる。

やがて時間通りに5人も姿を現わし、Millieが気を遣って、どこから買ってきたのか一串のフライドチキンをくれる。買い物は? の問いにMaryは「高くて買えなかった...とのこと。それではあとで原宿の100均で...と、ランチの場所探し。たまたま境内の菊花展のテントが目に入り、Maryが気にいり、自分の顔より大きいほどの菊に見入る。ランチはひさご通りの小さなラーメン店「メンマル」へ。路上に置かれた簡単なテーブルとイス以外は立ち食いだけの店。椅子席がかなり混んでいたのに、我々が行くと親切にも路上のテーブルの人たちが場所を開けてくれる。申し訳ないが、お礼を言ってみなで座る。私以外は420円の大盛りラーメンを取ってみなでシェア。辛いのが好きな彼らは、さらに胡椒や醤油をかける。でも一応うまいと言って、ローカルな食を出来たことを喜んでくれるのでホッとする。

銀座線で表参道へ。ここもすごい人波。人ごみに疲れたのか、明治通り近くの店でコーヒーブレイク。ケーキも1つ取ってみなでシェア。一息ついてまた大混雑の竹下通りへ。ここでは車椅子は無理だし、ゆっくりペースなので、母Maryも歩く。でも肝心の100DAISOでは混雑に嫌気がさしたのか入らない。

今度は明治神宮へ。車椅子は砂利道に合わないが、車道を回っては風情がないので、敢えて進む。でも思ったほど困難はない。たまたま七五三で晴れ着姿の子供が多く、菊花展もあり、結婚式の行列や結婚写真現場にも出会えて、みな喜ぶ。フィリピンでは七五三の習慣はないが、誕生1年後に洗礼を受ける際みなでお祝いするとのこと。Jeffが「結婚費用は男女どちらが持つのか」と聞くので、両人か両家で折半するのでは...というと、フィリピンでは結婚式は一切男性側が持ち、女性の家庭にはかなりのお金を男性側が渡すのが習慣だという。結納金にも似ているが「それでは嫁の売買取引では?」というと、でも「婚約式」は女性が持つので...とのこと。

今度は伊勢丹へ行きたいとのことで、そのまま副都心線で新宿3丁目に出て、伊勢丹へ。しかし着いてみると、そこで時間をゆっくり使いたいと言い出し、最後に予定していた都庁展望台を先に見て伊勢丹へ戻ることにする。都庁は日曜のせいか北側展望台だけしか空いていないので、長い列。それでも上がると都内の夜景は美しいと感動。写真を思い切り撮って、新宿駅近くに戻り、伊勢丹への戻り方とホテルへの帰り方を説明して別れる。


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パリ郊外に住むフランス人老夫婦
Jacques(79)Anne(77)を半日ガイドした。2人はフランス国籍だが、Jacquesはベトナム生まれ、Anneは中国南部の出身。午前中はAさんが新宿をガイドされ、正午に新宿駅近くのKFCで会い、ガイドを引き継ぐ。

Jacques(英語だとJack)はパリの大学で経済学・経営学を教える教授だったが、IBMに引き抜かれ、カンボジアの支社長に就任、200人の部下を動かす。そこでAnneと出会って結婚し、すでに53年になるという。52才の長男は建築家、長女は美容整形の医師。Anneはベトナム語も堪能で、2人の会話はJackの母語であるベトナム語だそうだ。

今日午後の予定は渋谷と恵比寿。2人共私より年上だが、とても元気で足取りも軽い。まず、山手線で渋谷に向かう。混雑をかき分けながら「ハチ公」に近づく。銅像のすぐ近くは一緒に写真を撮る人々で数珠つなぎなので、我々は少し離れたところからバックに像が入るようにして写真を撮る。映画Hachiは見ていないようだったが、同じように大学の先生のためか、ストーリーは承知の様子。土曜日でもあり、スクランブル交差点を渡る人波もものすごく、真ん中に入ると人の海に圧倒される。遠くから見るより実際に真ん中に立ってもまれる方が臨場感があり実感できる。

「センター街」を歩く。ガイ(街)とは何か? とか、日本橋のバシ()とは何か? とJackは好奇心が旺盛。パリからの客だが、東京の人の多さには圧倒されるという。「スペイン坂」へ行く。ここは名前のイメージもなく、特に特徴もない短い坂だが、来た証拠に写真には収める。すでに1時を過ぎたので、ランチにして、ヤキトリを食べたいとJack。周辺で「すき家」を見つけ、焼き鳥丼が目についたので勧める。Anneは卵とネギの丼。料理が来て食べ始めたら、Jackは「これは鶏肉じゃないか?」と驚く。Yakitoriという言葉は知っていても「トリ」の意味は知らなかったようだ。近くで食べていた別の外人が、それを聞いて思わずふきだす。

金婚式を超えている夫婦だけあって仲が良い。79才でも健康でいられるのは真心のこもった管理が出来る奥さんAnne夫人のおかげかも...と水を向けると、「自分は不美人で何もできないのに、彼のような人と結婚で来てラッキーだったAnne「家内は一緒に世界旅行が出来るように夫の健康を維持してくれているだよ」とJack半分ジョークで応じる。「実際IBMの支社長よく世界中で会議があり、世界を飛び回っていたのに付いて行かせてもらって、ずっと世界旅行を楽しめた」と奥さまは応じる。

更に近くのマクドナルドでアイスクリームのデザート。更に話が進む。今回の旅はこのあと横浜港から2週間のクルーズに乗り、清水(静岡)、大阪(京都も訪問)済州島(韓国)天津(北京)宝山(上海)、と来て、そこでクルーズは終わり。上海からは空路パリへ戻るそうだ。

2の目的地・恵比寿へ。スカイウォークと称する動く歩道は老人にはありがたいとAnne。エビス・ビールの工場跡地を再開発したGarden Placeを歩く。真ん中の広場では「からだFES」と称する健康志向のイベントが出ていて騒々しい。それを無視してエビスビールの博物館へ。ビールが珍しかった明治初期にビール製造のドイツ人技師を招いて品質を向上させた成功物語が展開され、ワイン党の彼らも興味津々。エビスが釣竿をもち鯛を抱えているのでFishermanかとAnneは聞く。確かに「漁師の神」でもあるが、「七福神」「福の神」「商売繁盛」などの印象の方が強いのは何故か自分でもはっきりしない。「ビールの水源は?」とJack。分からないので係員に聞く。近くに用水があったらしいが、高性能の濾過機を開発して品質を大きく改善できたとの答。試飲なども出来るがランチ時にビールを飲んだのでパス。

Garden Placeの突き当りにある「フランス古城」も彼らフランス人の目を引く。彼らもよく知る世界的なシェフ、フランス人のジョエル・ロブションの料理を食べさせるレストラン。ランチのコースでもサービス料を入れると2万、ディナーだと14万にもなる高級レストランが上の階に収まる。すぐ前には高級ホテルの「ウェスティン東京」もそびえる。「ちょっと中に入ってみよう」とJackの好奇心。ロビーにある豪華なソファに皆で腰かけ、超高級な雰囲気の中でしばし休憩。話し方も気を付けるようになるような感じ。

その後、敷地の中央にあるGarden Place Tower39階に登り、タダの展望を楽しむ。しかしあたりも夕暮れになりかかったので、新宿へ戻ることにする。ホテル近くまで案内し、そこで別れを告げる。

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