Uさんが急病でピンチヒッターとして急に引き受けることになったので、Uさんから今までの交信記録を送ってもらい読む。早速依頼者に交代したことをメイルするが、返事が来ない。夜に宿泊予定のホテルへ電話するが、同行者全員5人のどの名前でも予約が入っていないし、滞在もないとのこと。でも、一応メイルから判断して信用できそうなので用意して 一行はカナダ・バンクーバーから参加したMillie(45)とJulie(48)の姉妹とフィリピンに住むその母Mary(70)とそこに同居する息子夫婦Jeffrey(38)とCheryl(32)の5人で、一族再会を期して日本に集合。一行は70才の母以外は若い人たちだが、母の足が悪くゆっくりしか進めないとメイル交信にあったのを思い出し、朝ホテルで車椅子を借りることを思いつき、たまたま1台タダで借りることが出来たので、用意して待った。実際、朝予定通り現れた彼らは、「京都や奈良では母の歩行が遅くてあまり回れなかった」というが、「車椅子など必要ない」とカラ元気の母を説得して出発。でも一旦乗ると快適のようで、母も素直に景色を楽しむ。 まず、近くの東京タワーに行きたいとのことで、増上寺の脇の道を進む。「奈良・京都で見たので 二重橋で例のごとく写真を撮り、東御苑へ向かう。大手門までの徒歩移動はかなり時間がかかるので、こちらの皇居皇室の説明だけでなく、相手の状況も聞くのに利用できる。母のMaryは中国系だが、3人の子供は全部フィリンピン生まれで、依頼者のMillieは18年前にカナダへ移住。カナダの大学でコンピュータ・サイエンスを学んで建築関係のソフトを作るIT企業に就職、カナダで中国系の夫と結婚し、子供が2人。Millieの姉はフィリピンに夫も子供もいるが、妹に刺激されて8年前にカナダに移り、郵便局で働く。母Maryと息子夫婦はミンダナオでアジア系の料理を出すレストランを経営。息子のJeffは副業でファンド関係の仕事もして2人の子供がある。嫁のChelylも英語がうまく、野心があるようだ。 大手門への長い移動になるとさすがに母Maryの車椅子移動も板について、「これを用意してくれて本当に助かった」とMaryからお礼。兄弟姉妹も代わる代わる車押しと写真撮影をうまくこなす。 東御苑の日本庭園へ。関西では見損なったのか、みなが池の鯉に魅せられた様子。お互い池に落ちそうになりながら、鯉と一緒に写真に写ろうとする。「ここの鯉は特別でヒレや尾が長く、形も違う」と脇に居た老人が言うので、彼等にも伝える。今まで気が付かなかったが、よく見るとそうだ。汐見坂を何とかみなで車椅子を押しながら上がる。江戸城跡はJeffが石垣を上るまねをしながら周りをまわって北桔梗門から竹橋へ。 次は浅草。快晴の日曜日で、仲見世はものすごい混雑。それぞれの子供へのおみやげを買いたいとのことで、ここは母にも車椅子を降りてもらい、一応解散して30分後に宝蔵門下に集合を約束。私は車椅子をたたんで混雑をすり抜け、宝蔵門で待つ。隣にオーストラリア人の団体客の1人が、奥さんが買い物し やがて時間通りに5人も姿を現わし、Millieが気を遣って、どこから買ってきたのか一串のフライドチキンをくれる。買い物は? の問いにMaryは「高くて買えなかった..」.とのこと。それではあとで原宿の100均で...と、ランチの場所探し。たまたま境内の菊花展のテントが目に入り、Maryが気にいり、自分の顔より大きいほどの菊に見入る。ランチはひさご通りの小さなラーメン店「メンマル」へ。路上に置かれた簡単なテーブルとイス以外は立ち食いだけの店。椅子席がかなり混んでいたのに、我々が行くと親切にも路上のテーブルの人たちが場所を開けてくれる。申し訳ないが、お礼を言ってみなで座る。私以外は420円の大盛りラーメンを取ってみなでシェア。辛いのが好きな彼らは、さらに胡椒や醤油をかける。でも一応うまいと言って、ローカルな食を出来たことを喜んでくれるのでホッとする。 銀座線で表参道へ。ここもすごい人波。人ごみに疲れたのか、明治通り近くの店でコーヒーブレイク。ケーキも1つ取ってみなでシェア。一息ついてまた大混雑の竹下通りへ。ここでは車椅子は無理だし、ゆっくりペースなので、母Maryも歩く。でも肝心の100均DAISOでは混雑に嫌気がさしたのか入らない。 今度は明治神宮へ。車椅子は砂利道に合わないが、車道を回っては風情がないので、敢えて進む。でも思ったほど困難はない。たまたま七五三で晴れ着姿の子供が多く、菊花展もあり、結婚式の行列や結婚写真現場にも出会えて、みな喜ぶ。フィリピンでは七五三の習慣はないが、誕生1年後に洗礼を受ける際みなでお祝いするとのこと。Jeffが「結婚費用は男女どちらが持つのか」と聞くので、両人か両家で折半するのでは...というと、フィリピンでは結婚式は一切男性側が持ち、女性の家庭にはかなりのお金を男性側が
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Jacques(英語だとJack)はパリの大学で経済学・経営学を教える教授だったが、IBMに引き抜かれ、カンボジアの支社長に就任、200人の部下を動かす。そこでAnneと出会って結婚し、すでに53年になるという。52才の長男は建築家、長女は美容整形の医師。Anneはベトナム語も堪能で、2人の会話はJackの母語であるベトナム語だそうだ。 今日午後の予定は渋谷と恵比寿。2人共私より年上だが、とても元気で足取りも軽い。まず、山手線で渋谷に向かう。混雑をかき分けながら「ハチ公」に近づく。銅像のすぐ近くは一緒に写真を撮る人々で数珠つなぎなので、我々は少し離れたところからバックに像が入るようにして写真を撮る。映画Hachiは見ていないようだったが、同じように大学の先生のためか、ストーリーは承知の様子。土曜日でもあり、スクランブル交差点を渡る人波もものすごく、真ん中に入ると人の海に圧倒される。遠くから見るより実際に真ん中に立ってもまれる方が臨場感があり実感できる。 「センター街」を歩く。ガイ(街)とは何か? とか、日本橋のバシ(橋)とは何か? とJackは好奇心が旺盛。パリからの客だが、東京の人の多さには圧倒されるという。「スペイン坂」へ行く。ここは名前のイメージもなく、特に特徴もない短い坂だが、来た証拠に写真には収める。すでに1時を過ぎたので、ランチにして、 金婚式を超えている夫婦だけあって仲が良い。「79才でも健康でいられるのは真心のこもった管理が出来る奥さんAnne夫人のおかげかも...」と水を向けると、「自分は不美人で何もできないのに、彼のような人と結婚で来てラッキーだった」とAnne。「家内は一緒に世界旅行が出来るように夫の健康を維持してくれているんだよ」とJackが半分ジョークで応じる。「実際IBMの支社長はよく世界中で会議があり、世界を飛び回っていたのに付いて行かせてもらって、ずっと世界旅行を楽しめた」と奥さまは応じる。 更に近くのマクドナルドでアイスクリームのデザート。更に話が進む。今回の旅はこのあと横浜港から2週間のクルーズに乗り、清水(静岡)、大阪(京都も訪問)、済州島(韓国)、天津(北京)、宝山(上海)、と来て、そこでクルーズは終わり。上海からは空路パリへ戻るそうだ。 第2の目的地・恵比寿へ。スカイウォークと称する動く歩道は老人にはありがたいとAnne。エビス・ビールの工場跡地を再開発したGarden Placeを歩く。真ん中の広場では「からだFES」と称する健康志向のイベントが出ていて騒々しい。それを無視してエビス Garden Placeの突き当りにある「フランス古城」も彼らフランス人の目を引く。彼らもよく知る世界的なシェフ、フランス人のジョエル・ロブションの料理を食べさせるレストラン。ランチのコースでもサービス料を入れると2万、ディナーだと1人4万にもなる高級レストランが上の階に収まる。すぐ前には高級ホテルの「ウェステ その後、敷地の中央にあるGarden Place Towerの39階に登り、タダの展望を楽しむ。しかしあたりも夕暮れになりかかったので、新宿へ戻ることにする。ホテル近くまで案内し、そこで別れを告げる。 ![]()
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